白髪が増える原因|白髪メカニズムと予防できる対処法を美容師が徹底解説
30歳前後から増え始める白髪。見つけてしまうとついつい気になってしまうものですよね。
遺伝や加齢が主な原因とされていますが、実は生活習慣やストレスも大きく関係しています。
この記事では、白髪が生えてくる仕組みと原因、対処法について美容師が詳しく解説していきます。
- 白髪が生えるメカニズム
- 白髪を予防する対策
- 白髪が生えてきたときの対処法
白髪でお悩みの方にとって大切なお話をしていきますので、ぜひとも参考にしてください。
白髪になるメカニズム|メラニン色素の減少で白髪になる
髪の毛は本来白髪の状態で作られます。
髪が毛根の奥にある毛球部で生まれ、成長する過程でメラノサイト(色素細胞)によってメラニン(髪の色素)が生成されて髪の毛に着色します。
加齢やストレスなど、さまざまな要因でメラノサイトが正常に機能しなくなることでメラニンの生成が減少し、白髪のまま伸びてしまうのです。
メラノサイトの活性化が白髪の予防に効果的です。
白髪が増える原因|意識的に解決できる方法もある
白髪になる主な原因は3つあります。
白髪を引き起こす主な原因
- 身体の酸化
- 頭皮の血流不足
- 毛根の栄養不足
白髪の原因を改善すれば白髪の予防に繋がり、白髪を少なくできます。
上記3つの原因を改善するためには生活習慣の見直しが必要不可欠です。
- 遺伝
- 加齢
- ストレス
- 喫煙
- 過度な飲酒
- 睡眠不足
- 栄養不足
- 紫外線
- 水道水の塩素
遺伝や加齢は防ぐことができませんが、その他の原因は意識的に予防可能です。
それぞれの原因について1つずつ解説します。
白髪の原因①|遺伝
遺伝による白髪の増加は、2024年現在では医学的には立証されていません。しかしながら、美容師として多くのお客様を見てきた中で白髪の生えかた、白髪の生え始める年齢に類似性を感じずにはいられません。
両親や祖父母、または叔父や叔母など、血縁者の中での白髪に関する遺伝的な要素が強く見られます。
メラノサイトの機能の低下は遺伝によって引き継がれていると考えられる。
白髪の原因②|加齢
何歳になると白髪が生えるといったものではなく、白髪が生える年齢には個人差があります。
加齢によって体内の抗酸化物質が減少し、身体が酸化することによってメラノサイトの活動が低下します。
色素を作るメラノサイトの活動が低下することでメラニン色素の生成が少なくなり、結果として白髪が増えてしまうのです。
抗酸化作用のある栄養を取り入れることや、ストレスを発散することで酸化を軽減できる。
白髪の原因③|ストレス
ストレスによって引き起こされる「血流不足」が白髪の原因になります。
ストレスで交感神経が優位になると毛細血管が収縮し、血液によって送られる髪の栄養が不足します。
また、過度なストレスは肝臓や腎臓に悪影響を及ぼします。腎機能の低下によって血流が悪くなり、髪の毛に栄養を送るための血液が不足してしまうのです。
血流の悪化で髪に届く栄養が不足すると髪を黒くするメラノサイトの活動が弱まり、メラニン色素の生成が減少してしまいます。
ストレスを溜めないことは髪にとっても非常に重要。
白髪の原因④|喫煙による悪影響
ご存知の通り、喫煙は身体に害を及ぼしますが、髪の毛にも悪影響を与えます。
喫煙によるニコチンの摂取は毛細血管を収縮させ、髪に必要な栄養を運ぶ血液を不足させてしまいます。
栄養が不足すると髪の毛を生成するだけで栄養を使ってしまい、メラニン色素の生成にまで栄養が回らなくなってしまうのです。
また、身体の酸化を防ぐ抗酸化物質を破壊してしまうため、メラノサイトの活動も低下します。
喫煙は血流の悪化と身体の酸化を引き起こす。
白髪の原因⑤|過度な飲酒
過度な飲酒による白髪への影響は3つあります。
- 体内の水分が不足
- 血流の悪化
- 睡眠の質が低下
過度な飲酒は体内の水分を奪い、頭皮を乾燥させてしまうので髪の毛の成長に悪影響を及ぼします。
また、アルコールを排出するために肝臓や腎臓に負担をかけると血流の悪化をもたらし、毛根に栄養が送られにくくなってしまうのです。
お酒を飲み過ぎると交感神経が活発になり、寝つきが悪くなったり睡眠が浅くなったりと睡眠の質が下がるため白髪になりやすくなります。
水分不足と血流の悪化、さらに睡眠不足を起こすほどの飲み過ぎにはご注意。
白髪の原因⑥|睡眠不足
身体の細胞は睡眠時に修復して成長していきます。
髪の毛を生成する毛母細胞や髪を黒くする色素細胞も寝ているときに活発になるため、十分な睡眠を取れていないと髪の毛の健康を保てなくなります。
白髪を防ぐためには規則正しい生活リズムを意識する。
白髪の原因⑦|栄養不足
白髪を予防するためには食生活の改善は欠かせません。
- タンパク質
- ミネラル
- ビタミン
毛根にあるメラノサイト(色素細胞)は、上記の栄養素を元に髪の毛のメラニン色素を生成します。
髪の毛の栄養不足によってメラニン色素の生成が低下し、白髪の原因となるのです。
栄養の偏りがないバランスの良い食事が健康な髪の毛を育む。
白髪の原因⑧|紫外線
紫外線によってダメージを受けると、メラノサイト(色素細胞)の活動が低下し、メラニン色素の生成が減少します。
また、頭皮が紫外線にあたると皮脂(頭皮の油分)の酸化が早まり、過酸化脂質へと変化。過酸化脂質が毛穴に詰まると毛根の細胞の働きが阻まれ、白髪の発生につながります。
頭皮や毛髪用の日焼け止めで、UVケアをしっかりと。
白髪の原因⑨|水道水の塩素
水道水には、水を清潔に保つための塩素が含まれています。
塩素は、頭皮の油分や常在菌を過剰に洗い流してしまうため、毛髪を健康に保つための環境を悪化させます。
また、頭皮だけではなく毛髪表面のキューティクルにもダメージを与えてしまい、乾燥の原因となっていくのです。
水道水の塩素を軽減すれば、白髪と髪へのダメージを抑えられるので「塩素除去ができるシャワーヘッド」への取り替えを一考する価値はあります。
白髪を予防する対策と5つの改善方法
白髪を引き起こす原因がわかったところで、具体的にどのような対策が必要なのかをお伝えしていきます。
- 頭皮マッサージをおこなう
- 生活習慣を整える
- 髪に良い食事を心がける
- 適度な運動をおこなう
- 頭皮ケアグッズで地肌の状態を整える
全てを意識して対策できれば満点ですが、現実的には難しいはずです。
1つずつ解説するので、できるところからお試しください。
白髪の改善方法①|頭皮マッサージをおこなう
頭皮マッサージは頭皮の血流改善や老廃物を流すにはうってつけの方法です。
お店でヘッドスパをするのはもちろんおすすめですが、「手間とお金がかかるのはなぁ」と思われる方はご自宅で簡単にできる方法をお試しください。
簡単な頭皮マッサージの方法
簡単な頭皮マッサージの方法
掌の親指の付け根にある膨らんだ部分で側頭部(こめかみ〜耳の上)を痛気持ちいくらいの強さで後ろ回しに押してください。
1回しにつき1~2秒くらいかけてゆっくりとおこなってください。
3~4回し程度やったところで1度力を抜きます。
同じように3回し程度マッサージをします。この方法で3〜5回セットほどおこなってください。
頭皮マッサージはシャンプーをするときや、浴槽に浸かっているときに毎日おこなってみてください。
白髪の改善方法②|生活習慣を整える
前述した主な白髪の原因は生活習慣を見直すことで改善できる場合があります。
- 身体の酸化
- 頭皮の血流不足
- 毛根の栄養不足
改善した方がいい生活習慣
喫煙 | ・喫煙をやめると頭皮の血流が改善して髪に栄養が届く ・禁煙によってメラノサイトの酸化を軽減 |
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過度な飲酒 | ・身体の水分不足を解消 ・睡眠の質が向上 ・内臓への負担を減らすことで血流が改善 |
睡眠不足 | ・質の高い睡眠で色素細胞が活性化 |
ストレス | ・頭皮の毛細血管に血液が送られて髪の栄養が豊富になる |
当てはまる生活習慣があれば1つだけでも改善していきましょう。
白髪の改善方法③|髪に良い食事を心がける
白髪を予防するためには食生活の改善は欠かせません。
バランスの良い食事は身体のためだけでなく髪にも良い影響を与えます。
- タンパク質
- ミネラル
- ビタミン
特に上記の栄養をバランス良く摂取してください。
髪の毛を構成しているのが「ケラチン」というタンパク質。そのケラチンを作るために必要なのが18種類のアミノ酸です。
中でも「チロシン」というアミノ酸は、髪の色素の元になるメラニン色素を生成しています。
チロシンを含む食材を意識的にバランスよく取り入れることがおすすめです。
- チーズ
- マグロ・カツオ
- アボカド・バナナ
- ナッツ・豆類など
あくまでも栄養が偏らないよう、バランスよく摂取することが大切です。
白髪の改善方法④|適度な運動をおこなう
適度な運動で血行を良くすると、頭皮の毛細血管へ十分な血液が送られるようになります。
血行が良くなると髪に必要な栄養素が運ばれ、毛髪やメラニン色素が正常に作られます。
また、運動によってストレスの軽減や、老廃物の排出を促すことで抗酸化作用も期待できます。
無理のない範囲で心地よい程度の運動を心がけましょう。
白髪の改善方法⑤|頭皮ケアグッズで地肌の状態を整える
紫外線対策や、地肌の環境を整えるために頭皮ケアグッズを使うのもおすすめです。
頭皮の紫外線対策
紫外線対策には髪や頭皮用の日焼け止めや帽子で対策をしましょう。
頭皮用の日焼け止めは頭皮の紫外線ダメージを防ぐだけでなく、髪のダメージを軽減してくれる嬉しい効果もあります。
毛穴の汚れ対策
毛穴に詰まった過酸化脂質を綺麗に落とすためには、美容室でのヘッドスパに加えて、ご自宅でもスキャルプ用シャンプーや頭皮用のオイルパックなどで、週に1度程度のケアをしておきましょう。
過酸化脂質を落とすと髪が健康になる上に、嫌な臭いまで防げます。
それでも白髪が生えてきた時の対処法
ここまで紹介してきた方法でしっかりとケアをしても完全に白髪を防ぐことはできません。
白髪が増えてしまった場合には、以下のような方法で対処していきましょう。
白髪が生えている量によって対処法を変えていくのがおすすめです。
- 根元から切る
- 髪色を明るめに染める
- 白髪隠しのマスカラを使う
- 気になるところだけ染める
- ハイライトを入れる
もちろん全体的に白髪染めをすることも選択肢の一つですが、ここでは全体の白髪染め以外の方法についてお伝えしていきます。
白髪が生えてきた時の対処法①|根元から切る
「白髪を見つけるとついつい抜いてしまう」といったお声もよく耳にしますが、抜くよりも根本から切ってしまう方がおすすめです。
白髪を抜くと毛根にダメージを与えたり、最悪の場合には髪の毛自体が生えてこなくなります。
切った白髪は伸びてくるとピンと立ってしまうので、切るのは白髪が目立つ箇所の数本程度に留めておきましょう。
切る時には、刃先の丸くなった赤ちゃん用の爪切りハサミがおすすめですよ。
白髪が生えてきた時の対処法②|髪色を明るめに染める
生活環境やスタイルの好みもありますが、白髪が目立ち始めたら髪色全体を明るく染めるのもおすすめです。
白と黒では色のコントラストが強くなり、白髪が目立ちやすくなりますが、白髪と明るめの髪色であれば白髪を目立ちにくくできます。
ブリーチを使って金髪にするなど、髪色が明るければ明るいほど白髪が目立たなくなりますが、「金髪はちょっと抵抗があるなぁ」と思われる方は、最低でも10レベル以上の明るさにしておけばOKです。
髪のダメージや生活スタイルに合わせて、担当の美容師に相談してみましょう。
白髪が生えてきた時の対処法③|白髪隠しのマスカラを使う
白髪隠し用のマスカラは、白髪を染めるのには抵抗がある場合や、髪を明るく染められない場合に有効な方法です。
トップの分け目や生え際など、特に白髪が気になるところにだけ塗って隠せます。
マスカラは塗った日限りで洗い流すことができるので、ヘアカラーのように「思ったよりも染まりすぎてしまった…」と後悔する心配もありません。
お出かけ前に塗るといった一手間はかかりますが、お手軽にできる白髪対策としてはおすすめです。
白髪が生えてきた時の対処法④|気になるところだけ染める
白髪隠し用のマスカラを塗るのが面倒だ、といった方は、特に目立つところだけを染めてしまいましょう。
ただし、白髪染めには「ブラウンの色素」が多く含まれているため、選べる色味や明るさの幅が狭くなってしまうといったデメリットもあります。
その点、気になるところだけを部分的に白髪染めで染める方法であれば、選べる髪色の幅を広げられるのでおすすめです。
市販のカラー剤で部分染めをする場合は、少し明るめのカラー剤を使う方が失敗が少ないですよ。
白髪が生えてきた時の対処法⑤|ハイライトを入れる
全体を明るく染める場合と同じ理由で、ハイライト(メッシュ)で明るい髪色をプラスすると白髪を目立たなくできます。
ハイライトは太めに入れると目立つデザインにできますし、細めに入れると馴染むようなデザインにもできるので、担当の美容師と相談して決めてみましょう。
ハイライトを入れる最大のメリットは、根本が伸びてきても白髪が目立ちにくいところです。
幅広いデザインを楽しみたい方にはうってつけの方法です。
白髪の原因と対処法を知って上手に付き合っていく
ここまで、白髪の原因と対処法についてお伝えしてきました。
白髪は個人差があるものの、多くの方を悩ませる存在です。この記事の著者である私自身も白髪が気になる1人です。
「白髪が生えたら白髪染めをする。」
この一言で済ませてしまうのは簡単ですが、髪に良いことを実践しつつ、生えてきた白髪に対してできる限り対策していけばもっと幅広いヘアスタイルを楽しむことができるので、当記事を参考にして上手に白髪と付き合っていきましょう。
白髪のお悩みを一緒に解決していくのが美容師の仕事ですので、当店にご来店の際にはお気軽にご相談いただければと思います。
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